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VR体験を通して子供たちにアフリカの野生動物について教育する

アフリカに住む野生のヒョウを撮影することは不可能だ、という話はHabitat XR社の映画製作者がよく耳にしてきたことです。単独で行動するヒョウはカメラに収めるのが難しいことで知られており、生息地の減少により世界中で個体数が減っているからです。

しかし彼らは、子供向けの教育プロジェクトのためにこの動物をカメラに収めようという気になりました。ベルギーの熱心な慈善家から、アフリカの危険な動物ビッグファイブとして知られるライオンやヒョウ、サイ、ゾウ、バッファローをテーマにした、没入型VR教育体験動画の制作を依頼されたからです。

Habitat XR社は、ヒョウの撮影に成功しただけでなく、ヒョウが獲物を襲うところや、カメラの匂いを嗅ぐところさえも撮影しました。フル8K 360度で撮影した以下の動画をご覧ください(8K画質に切り替えるともっとも鮮明な映像になります)。 https://www.youtube.com/embed/6rZyQUpBIKY

Habitat XR社は見つけるのが困難なそのような動物たちを360度VRで撮影することで、その生き生きとした姿を子供たちに伝えています。そうすることでHabitat XR社は、絶滅の危機に瀕している動物たちやその環境について子供たちが、たとえ自分ではその場所を訪れることができないとしても、関心を持ってくれることを願っています。

この記事では、Habitat XR社がInsta360 Titanを使ってどのようにアフリカのサバンナでVR教育体験動画を撮影したのかについてご紹介します。

1. ご自身と今回のVR教育プロジェクトについて簡単に紹介していただけますか? 

ウルリコ・グレック・カンボといいます。2016年に制作会社Habitat XRを創設し、現在CEOを務めています。弊社はVRやAR、ホログラム、プロジェクションマッピングなどの没入型テクノロジーを使って人々を再び自然と結びつけることに特化した会社です。

今回のVR展示会の目的は、ベルギーの子供たちにアフリカのブッシュの魔法を見せ、自分の目で見に行きたいという情熱に火をつけることでした。私たちは南アフリカの大クルーガー国立公園にある有名なサビ地区で、14日間に渡って撮影を行いました。その後、2019年12月にベルギーのブリュッセルで展示会を開催しました。展示会場の全てのエリアは野生動物の写真と没入型VRで教育体験ができる場に変わりました。

VR映像の専用エリアには、子供たちが体験動画を視聴するためのOculus Goヘッドセットを何台も用意しました。また、効率的に再生するための自動再生アプリも開発しました。

VR体験が子供の教育ツールとして適していると考える理由は何ですか?

私は、VR教育は良いだけでなく、無敵だと思っています。私たちの自然界は実際にはうまくいっていません。世界の保護区はかつてないほど少なくなっており、訪れるにしてもこれまで以上に費用がかかります。ほとんどの人はこうした動物や環境を見る機会はありません。

私たちはよく、VRは自然へのアクセスを民主化する、と言います。ジェーン・グドールさんは「理解してこそ、関心を持つことができる 」と言っています。VRによる教育体験は、現実の世界では決して目にすることのないものに関心を持つことを可能にします。

3. 子供向けの動画はどのように撮影・編集しましたか?  

私たちはサファリガイドのスタイルを真似ることにしました。まるでサファリジープに乗って動物保護区を走っているかのようなイメージです。サファリガイドは、あらゆる年齢層に受け入れられるよう、よく知られた動物についての興味深い事実を教えてくれます。

この方法は、アフリカのビッグファイブを種ごとに説明するという、極めてシンプルな編集スタイルを伝えるのに役立ちました。私たちはすべてのコンテンツを撮影してから脚本を書くようにしていますが、それは撮影した動物の行動がプロットポイントや視聴者の存在感を生み出すことが多いからです。

例えばヒョウのシーンでは、若いヒョウが突然、視聴者の存在を確認するかのようにカメラを見ています。そこで、台本では「あ! 見つかっちゃった… 動かないで!」と強調しています。英語、フランス語、オランダ語のナレーションを入れて言語ごとに別のバージョンにしました。

4. 野生動物を撮影するための360度カメラで重要なことは?

野生動物の撮影は実写映画の撮影の中で最も難しいものですが、360度撮影の場合は特にそうです。被写体が全く協力してくれないだけでなく、条件が厳しく、撮影方法も危険が伴います。

私たちは常に、可能な限り最高の品質と解像度の動画を3D 360度で撮影してきました。暑いアフリカのサバンナで、砂埃や、オフロードを走るサファリカーの揺れにも耐えられる高品質なカメラが必要でした。

VR 教育カメラ装備

カメラを野生動物に近づける必要があるため、私たちは優秀な野生動物ガイドのチームと一緒に徒歩で撮影することが多いです。動きが予想される場所にカメラを設置し、近くのブッシュに隠れて、踏みつけられたり、襲われたり、噛まれたりしないことを祈るのです。

安全のために可能な限り遠くから撮影できるプレビューシステムは非常に有利なものですが、Insta360 Titanは私たちの要件をすべて満たすものでした。

Insta360 Titanを使って、暗い場所での撮影だけでなく、野生のサバンナヒョウも撮影することができましたが、その中には木を降りてくるヒョウの姿もありました。これは誰もが不可能だと言っていたものです。また、野犬の群れや、これまで見たこともないような大きなゾウもTitanで撮影しました。 

VR 教育での木から降りてくるヒョウの姿

5. Insta360 Titanによる野生動物の撮影はどうでしたか?

最も驚いたのは、低照度下でのInsta360 Titanの高い撮影能力でした。野生動物の撮影で重要なのは、何時撮影できるかということです。撮影時間が長ければ長いほどより良い映像が撮れます。過去4年間の撮影では日没によって撮影時間が大幅に制限されていました。Insta360 Titanを使えば撮影時間を毎日2〜3時間増やすことができます。今回のような14日間の撮影では、30時間以上も撮影時間が増えたことになります。

他にも、映像のビットレートやカラーグレーディングの機能がこれまで使ってきたカメラよりもはるかに充実していたのも驚きでした。10ビットカラーで撮影された夕日の写真がどれほど美しいかお分かりいただけると思います。

映像のビットレートやカラーグレーディングの機能はこれまで使ってきたカメラよりもはるかに充実しています

Farsightのライブモニタリングシステムは非常に優れた性能を発揮しました。これはまさにゲームチェンジャーでした。カメラの近くにいながら、野生動物に襲われないように十分離れたブッシュの中に隠れることができました。

Farsightのライブモニタリングシステムは非常に優れた性能を発揮しました。これはまさにゲームチェンジャーでした。

唯一の例外は初めてFarsightを使おうとしたときでした。原因はFarsight ではなく人為的なミスでした。この時はまだカメラのファームウェアをアップデートしていなかったのですが、縄張り意識の強いヒョウに殺されたばかりのインパラの死骸を見つけました。ヒョウがよくやるようにおそらくこのヒョウも餌を食べた後で水を飲みに行ったのだろうと思い、私たちはどうしてもカメラで撮影したいと思いましたが、これは不可能なことではありませんでした。 

私たちはヒョウが戻ってくることを期待して暗闇の中で45分間待っていました。突然、ブッシュの中を戻ってくるヒョウの反射した目が見えましたが、録画ボタンを押そうとしてもカメラが反応せず、撮影は失敗しました。その日は夕食を取らずにすべてのファームウェアをアップデートしたことは言うまでもありません。

アフリカサバンナでのInsta360 Titan

6. どうやってヒョウをカメラに収めることができたのですか?

幸いなことに、私たちには野生動物を撮影した経験がたくさんあります。しかしこれまで撮影できなかったものの一つがヒョウでした。

360度VR形式で野生動物を撮影するというのは、結局のところ予測するということです。つまり、その動物がどこに現れるのかを直前に予想するのです。そのためには、動物の行動を読み取り、その行動が時間帯によってどのように変化するかを知ることが重要です。撮影監督であり野生動物の専門家でもあるジャレッド・リードさんは、私たちがこの点を理解する手助けをしてくれました。

サビ地域でのヒョウの生息密度は非常に高く、数多くのヒョウを見つけることができました。また、ヒョウは木々の中に入るのを好むので、その習性を利用しました。

これまでライオンに何度もカメラを盗まれてきたので、使い始めたばかりのInsta360 Titanをヒョウのそばに置くことに最初は少し緊張しましたが、ヒョウはカメラのことを気にも留めていませんでした。おかげで、カメラのすぐそばでヒョウが木に登ったり降りたりするという、信じられないような写真を撮ることができました。


Insta360 Japanの公式YouTubeチャンネルでは、絶滅危機に瀕するチーターの保護活動を行う南アフリカの団体 Running Wild Conservation の協力のもと撮影された迫力満点の映像「Insta360: チーター VS 猫」も公開中です。
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WRITTEN BY @Yuki Sunaga
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